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井上孝雄(1935~1994)

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井上 孝雄(いのうえ たかお)

俳優
1935年(昭和10年)〜1994年(平成6年)

1935年(昭和10年)、東京府東京市渋谷(現在の東京都渋谷区)に生まれる。東京高等師範附属小学校を経て、1951年(昭和26年)に玉川学園高等部へ入学。芝居と長唄が好きな祖母の影響を受け、在学中は演劇部に属し、学園祭や地方公演で学生演劇に没頭した。その後、玉川学園大学に進学し、1957年(昭和32年)に大学を卒業。演劇部で活躍する井上を見ていた一の宮あつ子の薦めもあり、劇団東宝現代劇に第1期生として入団。菊田一夫に師事し、芸術座公演『モデルの部屋』で初舞台を踏む。その後、『まり子自叙伝』『蟻の街のマリア』『月高く人が死ぬ』『人間の條件』と立て続けに芸術座の東宝現代劇に出演。1959年(昭和34年)2月には新宿コマ劇場公演『花の水滸伝』で初の時代劇に挑戦するなど、頭角を現していく。1960年(昭和35年)年、東宝グランド・ロマンス『敦煌』(東京宝塚劇場)で主役の趙行徳を演じていた池部良が降板。これを受けて急遽井上が代役に抜擢され、注目を集める。同年、女優の馬渕晴子と結婚。以降も『がめつい奴』『がしんたれ―青春篇―』と菊田一夫の手がける作品に出演し、芸術座の東宝現代劇で確固たる立場を築いていく。特に『放浪記』では1974年(昭和49年)以降福地貢役を20年間演じ、森繁久彌主演『屋根の上のヴァイオリン弾き』では学生のパーチック、六代目市川染五郎(後の二代目松本白鸚)主演『ラ・マンチャの男』ではカラスコ博士をそれぞれ持ち役とした。また、テレビ界にも進出。声優の仕事もこなしており、洋画の吹き替えではロック・ハドソンとピーター・オトゥールのフィックス(専属)声優として知られた。1987年(昭和62年)、第12回菊田一夫演劇賞を受賞。1994年(平成6年)、『放浪記』の全国ツアーの最中に病に倒れ、同年10月16日午後1時30分、肝不全のため入院先の病院で死去。享年59。


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今年、生誕90年を迎えた井上孝雄。いぶし銀の演技と重厚感のある声で、『白い巨塔』の今津教授や『黒革の手帖』の東林銀行・村井次長など、存在感ある演技を残した。声優としても、『アラビアのロレンス』のピーター・オトゥール、時代劇『江戸の旋風』のナレーション等で印象を残し、今なお評価する人も少なくない。大変器用な役者だったが、器用故か主役を張ることは少なく、決して目立たない堅実な名脇役として終わってしまったことは少々残念である。若くして世を去った井上孝雄の墓は、東京都府中市の多磨霊園にある。墓には「井上家之墓」とあり、左側に墓誌が建つ。戒名は「天真院孝雲道照居士」。なお、妻の馬渕晴子は2012年(平成24年)に亡くなっているが、墓誌には名前が刻まれていない。これは、「遺灰は海にまいてほしい」と遺言していたことから、同墓には納骨されていないと推測される。

by oku-taka | 2025-03-27 00:24 | 俳優・女優 | Comments(0)