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六代目・一龍斎貞水(1939~2020)

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六代目・一龍斎 貞水(いちりゅうさい ていすい)

講談師
1939年(昭和14年)〜2020年(令和2年)

1939年(昭和14年)、東京府東京市本郷区湯島天神町(現在の東京都文京区湯島)に生まれる。本名は、浅野 清太郎(あさの せいたろう)。役者志望であったが、小さい頃からラジオで演芸に親しみ、また画家であった父と親しくしていた講談組合頭取(会長)の四代目邑井貞吉と出会い、寄席本牧亭の楽屋に出入りするようになる。周囲に貞吉の孫と勘違いされて可愛がられ、五代目一龍斎貞丈から「ちょっと噺出来るか」と言われ、学生服姿で初舞台を踏んだところ喝采を浴び、講談の道に入るキッカケとなる。1955年(昭和30年)、都立城北高校入学と同時に、五代目一龍斎貞丈へ入門し「貞春」を名乗る。1960年(昭和35年)頃より、自作の大道具や照明などを駆使した「立体怪談」に取り掛かり、自身のスタイルを作り上げた。この怪談噺は評判が高く、「怪談の貞水」の異名をとる。また、『忠僕直助』『彰義隊始末記』などを得意とし、1966年(昭和41年)には真打に昇進。「六代目一龍斎貞水」を襲名した。その後、テレビやラジオなどでの多彩な活躍で、長く低迷していた講談界を牽引し続けた。また、低迷が続く講談界の活性化を目指し、自宅で若手の勉強会「講談・湯島道場」を開催。女性の声優たちが弟子となり、話題になった。1975年(昭和50年)、 『鉢の木』で芸術祭優秀賞を受賞。1976年(昭和51年)、放送演芸大賞講談部門賞を受賞。1998年(平成10年)、『赤穂義士本傳』の全編読み切りを講談で初CD化。2002年(平成14年)、講談界で初の重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定。また、同年から2006年(平成18年)にかけて講談協会の会長を務め、その後、講談協会相談役に就いた。2003年(平成15年)、筋層非浸潤性膀胱癌を発症。2008年(平成20年)には初期の原発性肺癌を患い、以降は癌と闘病しながら高座を務めた。2004年(平成16年)、長講の『四谷怪談』を講談で初CD化。2009年(平成21年)、旭日小綬章を受章。2010年(平成22年)、再び講談協会会長に就任。一方で、両肺の癌で半分近く肺を切除し、その後に前立腺癌も患った。晩年は常に酸素吸入器を手放せず、楽屋で酸素吸入をした上で高座に上がっていた。2020年(令和2年)11月まで高座を務めていたが、 12月3日、肺炎のため東京都内の病院で死去。享年81。没後、正五位が追贈された。


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「怪談の貞水」の異名をとった、六代目一龍斎貞水。代表作『四谷怪談』を筆頭に、照明と音響を使った「立体怪談」で地位を確立。また、落語に比べて低迷が続く講談界を憂い、女性声優の鈴木みえを一龍斎貞友として弟子にするなど、講談界の活性化を目指して後進の育成に力を注いだ。そうした功績が認められ、講談界では初の人間国宝に認定された。いま講談界では、テレビでも活躍している神田伯山が最もチケットが取りにくいと言われるほどの人気を博し、その師匠である神田松鯉も講談界では2人目となる人間国宝に認定された。かつて一龍斎貞水が憂いたその世界は、後輩たちの活躍で再び脚光を浴びるまでとなり、その様を見届けるかのように一龍斎貞水はこの世を去っていった。六代目一龍斎貞水の墓は、東京都豊島区の善養寺にある。墓には「浅野家之墓」とあり、左側面に墓誌が刻む。また、生前、芸人として「しっかりお別れをする場を作りたい」とお別れの会の開催を望んでいたものの、コロナ禍のため実現が出来なかったことから、故人を偲ぶ場所として功績を記した顕彰の碑を墓の右横に建立。小松石を使用し、寄席文字で「六代目一龍斎貞水」と戒名が掘られ、左側面に直筆で座右の銘「言葉は心、芸は人」、釈台と張り扇を模したものが置かれ、さらにその右横には、演芸評論家・長井好弘による弔文が刻まれた碑が建つ。戒名は、「講龍院清卓貞水居士」。

by oku-taka | 2023-01-02 23:42 | 演芸人 | Comments(0)