1970年代のテレビドラマ界においてクールビューティーの代表格として活躍した范文雀。TBSの『サインはV』で、児童養護施設で育てられた悲運の混血アタッカー「ジュン・サンダース」役を演じてたちまち大ブレイク。繊細ながら表面的には突っ張るジュンの役柄は視聴者の共感を呼び、志半ばで骨肉腫によって倒れた際は、助命嘆願の手紙が寄せられるほど、この役でその人気を不動のものとした。人に決して媚びず、気に入らなければ大物男優との共演も辞退するなど、常に高みを目指すストイックな女優であったが、私生活では台湾籍の両親に生まれながら祖母と祖母の愛人によって育てられ、寺尾聰との結婚生活も短期間で破綻と波瀾万丈の生涯を送った。ドラマ同様に若くして病に倒れ、立木大和のチームで最初の鬼籍入りとなってしまった范文雀の墓は、神奈川県三浦市の三浦霊園にある。洋型の墓には「THAT'S YOUR STAGE,DEAREST REST IN PEACE」とあり、屍櫃部分に墓誌が刻む。