2021年 03月 14日
森雅之(1911~1973)
知的で彫りの深い端整な顔立ちと、憂いと翳りを含んだ独特の存在感で日本映画黄金期を代表する俳優となった森雅之。1995年(平成7年)にキネマ旬報が行なった「日本映画オールタイム・ベストテン」の「男優部門」で第1位に選出され、2000年(平成12年)に発表された「20世紀の映画スター・男優編」では日本男優の3位、2014年(平成26年)発表の『オールタイム・ベスト 日本映画男優・女優』では日本男優2位になるなど、没してもなおその評価は高い。また、共演した女優からも賞賛されており、田中絹代や高峰秀子らが、インタビューや自著などで森の演技力の高さを幾度となく語っている。特に有名なのが、暴君として恐れられていた映画監督の溝口健二が、『雨月物語』で会心の演技を見せた森雅之が「誰かタバコをください」と言った時に、自ら率先してタバコを差し出し、火を点けて労ったというエピソード。このように、業界からも高く評価された森雅之。戦後のスクリーンを彩った名優の墓は、神奈川県鎌倉市の材木座霊園にある。当初は多磨霊園にある父・有島武郎の墓に納められたが、後に武郎の弟で画家の有島生馬が眠る材木座霊園に改葬された。3基ある墓のうち、森雅之の墓は入口正面にあり、墓には戒名と右側面に墓誌が刻む。戒名は「聰德法堂居士」。