2020年 04月 25日
溝口健二(1898~1956)
小津安二郎、黒澤明らと共に、国際的に高い評価を受けている映画監督・溝口健二。ヴェネツィア国際映画祭では作品が3年連続でサン・マルコ銀獅子賞を受賞し、ジャン=リュック・ゴダールをはじめ、エリック・ロメール、ベルナルド・ベルトルッチ、などヨーロッパの映画作家に多大な影響を与えた。とりわけゴダールは「好きな監督を3人挙げると?」の問いに「ミゾグチ、ミゾグチ、ミゾグチ」と答えるほど溝口を敬愛していた。完璧主義ゆえの妥協を許さない演出、長回しの手法を用いた撮影手法で生まれた溝口作品は、世界の映画人を虜にした。特に役者への演技指導の厳しさは有名で、気に入らない演技をした菅井一郎を「脳梅毒」呼びしたり、入江たか子への執拗な罵声など、今でも語り草となっている逸話は数多くある。没後半世紀を経てもなお人気が衰えない名監督の墓は、東京都大田区の本行寺と京都府左京区の満願寺に分骨されている。前者の墓には「溝口家之墓」とあり、左側面に墓誌が刻む。また、墓域の入口付近の右側には、歌人の吉井勇が捧げた悼歌、背面に「キネマ旬報ベストテン」の30回記念として溝口の代表作20作が記された「溝口健二記念碑」が建つ。