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能勢妙子(1915~1999)

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能勢 妙子(のせ たえこ)

歌手
1915年(大正4年)~1999年(平成11年)


1915年(大正4年)、東京市芝区豊岡町に生まれる。本名は、菊田(旧姓:大木)明子。1935年(昭和10年)に結成された「古川緑波一座」で女優としてデビュー。歌が上手く踊りも演技力も優れていたことから、芸能分野でマルチに活躍。多数のPCL映画に出演したほか、1936年(昭和11年)にはビクターと専属契約を結び、歌手としての活動もスタートさせた。1937年(昭和12年)、『あなたなしでは』が大ヒット。その後も、「日の丸行進曲」などの吹き込みに参加したが、1939年(昭和14年)の結婚を機に芸能界を引退。戦後、劇作家の菊田一夫と親しくなり、菊田が能勢の歌手復帰を企画。菊田の依頼を受け、作曲家の古関裕而がコロムビアに能勢の推薦を伝えた直後、能勢は菊田との関係を疑う夫と揉め、芸能界復帰は頓挫した。1947年(昭和22年)に女優として復帰するものの、菊田との関係を疑う夫は、1949年(昭和24年)に能勢と菊田を告訴。能勢は同年6月に家出し、無職の夫が菊田から金を搾り取ろうとして自分は利用されたと暴露した。9月30日の調停で夫は慰謝料200万円を請求するなど泥仕合となったが、調停には能勢も菊田も出廷しなかった。この一件は、芸能スキャンダルとして世間に話題を撒く破目となった。1951年(昭和26年)4月、家庭裁判所によって能勢と夫との離婚が成立。その後、菊田と結婚し、芸能界を引退した。1999年(平成11年)6月26日、死去。享年84。


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佐伯孝夫、佐々木俊一によるゴールデンコンビの傑作「あなたなしでは」をヒットさせた能勢妙子。この歌を知っているという人は、結構なご年配の方か、よほどの懐メロマニアであろう。世間を賑わせた菊田一夫とのスキャンダル以後、彼女は菊田の妻となって彼を支え、『君の名は』や『がしんたれ』といった名作の誕生に貢献した。一方で、菊田の浮気癖は治らず、結婚後も浦島千歌子や西尾恵美子といった女優と浮名を流した。しかし、彼女は決して別れず、菊田一夫の妻として最後まで寄り添い続けた。そんな能勢妙子の墓は、東京都八王子市の上川霊園にある。墓には「妙法 菊田家累代之霊」とあり、右側に墓誌が建つ。戒名は「蓮光院妙晶日明大姉」。

by oku-taka | 2017-05-05 00:10 | 音楽家 | Comments(0)